編集部ノート - 実録”流し”の仕事!鈴木左千夫&二代目兎に一晩密着

ゴールデン街で呑んでいると、何人かの「流し」が店に来ることがある。
もちろんシステムキッチンだとかステンレスだとかそういう文脈でのアレではなく、ギター片手に店を渡り歩き、歌で稼ぐ商売だ。イントネーションは「嵐」に同じ。
ところで以前から気になっていたのだが、その「流し」の人たちは一晩の間に、一体どのくらいの店をまわって仕事をしているのだろうか。
そんなことをうっすら考えていた10月はじめのある日、いつものように日が変わるギリギリの時間にゴールデン街に着くやいなや、ちょんまげで有名な鈴木左千夫さんとバッタリ。しかもこの日は幸運にもバニーガール姿の二代目兎と一緒ではないか。
となれば呑むのは後まわし、sejiroさんも合流し、無理やり2人に同行させていただくことにした。
23:50 ゴールデン街をぐるり
「流し いかがですか?!」
威勢よく数軒まわるも、客がいなかったり「あー今ダメ」とお断り。なるほどタイミングが合わなければ店にも入れないのか。
すると左千夫さんは「気分を変えてアッチに行きましょう!」と区役所通りを渡り、歌舞伎町1丁目の中心部へ。
00:10 milky's
とあるビルに自信満々で入っていく左千夫さん。これは確実な店に向かうのかと思いきや「昨日断られた店ですよ」とのこと。
すると店の方は「あら、また来たの?!」と驚きつつも、ニッコリほほえんであっさりと入店OK。この辺からして、自分の中の常識が1つずつ取り外されていく。
この日の取材1軒目となったのは「milky's(ミルキーズ)」。ニューハーフも女性スタッフもまじって楽しく飲める、アットホームなお店だった。年配のご夫婦に向けて、『シクラメンのかほり』など懐メロを中心に5曲。
00:30 へろへろ & キフキフ
店を出るとそのまま階段を降りて「へろへろ」、そして姉妹店「キフキフ」へ。陽気な社長が経営するだけあって、客もスタッフもノリがいい。
この2店では二代目兎が大活躍し、3ヶ月前からはじめたというギターも板についてオリジナル曲を披露。それにしても彼女、昼間は美大生の若干20歳というからその度胸に恐れ入る。
01:00 LAYLAM
左千夫さんが「行きたい店がある」と次に訪れたのが、エリック・クラプトンの同名曲から名づけられたという「LAYLA(レイラ)」。店内に流れていた映像もクラプトン、カウンターテーブルまでギターの形という徹底したこだわりだ。
この店では流しはせず、マスターとママのデュエットとお茶をごちそうになった。
01:30 ぶんご商店
「さて次はどこに」とシンキングタイム。ちょうど場所も近かったのでチャンスとばかりに「ぶんご商店」をご紹介することにした。左千夫さんに負けずおとらずキャラの濃い板長、村瀬文吾さんとの組み合わせを見てみたいというスケベ心もあり。
客はノリのいいサラリーマングループで、店内はすっかり盛り上がり、二代目兎の胸元でおひねりも順調に膨らんだ。
一方で文吾さんも、「みんなで盛り上がれる曲を!」というタイミングで『氷雨』をリクエストする、さすがの曲者ぶりだった。
02:50 Minnano Bar 997
調子も上がってきたのか、続いて近くにおしゃれなバーを見つけると、2人はスルスルと地下に降りて行った。
入ったのは、ウッドの質感を活かしたおしゃれなバー「997」。若い客層のためか、ここでは意外にもロックモード全開でスタートし、最後はドリカム『LOVE LOVE LOVE』でしっとりと。
聞けばこの店をプロデュースをしてるのはミュージシャンのTSUMUGI。毎月ミュージックライブも開催しているそうで、歌舞伎町コミューンとしても今後要チェックの店だ。
02:20 クリシュナ
さていよいよにぎわってきたころかと再びゴールデン街へ戻り、まずは「クリシュナ」。この店はちょうど先日左千夫さんのライブがあったこともあり、一気にヒートアップ。応援ソングなど、広い店内をまわって40分近く歌っていた。
その後はさすがに主戦場。「coco,m(ココム)」「MARVELOUS!(マーヴェラス)」「Calimero(カリメロ)」と軽快に渡り歩く。
04:10 Abbot's Choice
さていよいよ疲れも見え始めた明け方4時すぎ。「あ、4時に行く約束してる店があるんですよ」と急いで向かった先は区役所通り沿い「Abbot's Choice(アボットチョイス)」。
まず驚いたのが広い店内と酒の種類だ。世界各地のウイスキーやビールを600種以上も取り揃えているとのこと。
しかし客は2組、この広さで歌うには少しさびしいかと思ったのもいらぬ心配、歌っている最中に次々と客が入りみるみる席が埋まった。
なるほどそれで4時だったのか。朝8:00までオープンしているそうで、グループで呑み直すに十分なキャパもある。その頼もしさから明け方でもこれだけの波があるのだろう。
04:50 終了
Abbot's Choiceから地上に上がると、空がうっすらと白みはじめていた。ここでこの日の営業は終了。さっそくその場で売上を集計する生々しさまで2人らしい。
最終的にこの日の売上は65,000円、うち35%が見習いである二代目兎の取り分だそうだ。
しかし、この日は21時から流してたというから約8時間、ほぼぶっ続けで歌い続ける体力には本当に恐れ入った。
最後は皆で呑み帰りの定番「いわもとQ」。
「かっこいいところを見せたいんでおごります」と、この日稼いだシワシワのお札を券売機に突っ込む左千夫さん。
初めて一晩密着した「流し」の仕事は、ハードで楽しくて本当にかっこよかった。





















